皆さん、こんにちわ!!
コーヒー焙煎研究所わたるのWATARUでございます。
本日も、コーヒー好きな方にとっては有益で楽しい情報満載でコーヒーに集中したことをお届けしていきますね。
今回は、先日開催されたJACRC2022(Japan Aeropress Championship Roast Competition)に参加して参りました。
去年に引き続き2年連続で参加して感じたことや学んだことが沢山ありました。
そのJACRC2022(Japan Aeropress Championship Roast Competition)に参加した際のことについて詳しく記述していきますので、ご興味のある方は是非ご観覧下さいね。
目次
JACRC2022(Japan Aeropress Championship Roast Competition)とは
まずJapan Aeropress Championship Roast Competitionとは何かをお伝えしていきますね。現在、コーヒー業界でのトレンドであるエアロプレスというコーヒー抽出器具があります。そのエアロプレスというコーヒー抽出器具で世界一を競う大会があります。その世界大会のために日本でも代表を決めるための、日本でのエアロプレス競技会があります。その競技会のことをJAC(Japan Aeropress Championship)と呼びます。
この競技会に関しては、私自身もコロナ禍前に行われた福岡予選会には参加しております。詳しくは、下記リンクで当時のJAC2019(Japan Aeropress Championship)に関してはブログ記事にしておりますので、こちらもご参考に下さいませ。
参考リンク⇒「エアロプレスコーヒー競技会「JAPAN AEROPRESS CHAMPIONSHIP2019」(JAC)に参加しました」
そのエアロプレスコーヒー器具を使用して、ルールや規定内の中で日本一を競うために焙煎豆が必要になります。その焙煎豆自体のロースティングをする役割の人をローストコンペによる形で選出します。そのローストコンペのことをJapan Aeropress Championship Roast Competitionといい、略して【JACRC】と呼んでおります。
ただ、ローストコンペといえど日本エアロプレス競技会の実行員の方々は日本でも屈指のコーヒー実力者やチャンピオンクラスの猛者ばかりで構成されておりますので、ルールや規定なども抜け目のないしっかりとした形になっております。もちろん、ローストコンペに参加される面々も現在の日本でのロースターでもトップレベルの方々ばかりで事実上の日本一を決定する競技といわれても過言ではないと思います。
そんな素晴らしいローストコンペに、私は去年に引き続き2年連続参加させて頂きました。このような、レベルが高い競技会は参加するのにも先着で数十名しか枠がなく応募開始直後で回線はパンク状態で数秒で参加者の定員数が埋まってしまうほどです。去年も今年も、何とか先着30名には入りこむことが出来ました。
Japan Aeropress Championship Roast Competition2022の競技詳細について
こちらのJapan Aeropress Championship Roast Competitionは、年々とブラッシュアップされて公平性と実力性を改善して素晴らしい競技内容になっていっております。今年のJapan Aeropress Championship Roast Competition2022の競技詳細は、下記の内容で統一ルールをまとめてみました。
【競技詳細】
1,30サンプルを2カップづつ用意して、湯音を確保しながら注湯して一度にジャッジを開始していきます。
2,テイスティングは注湯後から50分までとします。
3,JACRC独自のスコアシートを使用して、「Acidity」と「Balance」のスコアは2倍とします。
4,競技用の焙煎豆の提出に関しては、200gを2袋にします。
5,グラインダーはEK43を使用します。
6,850μmで70%~75%を通過する粒度
7,精製水にAcua codeで75ppmの水
上記の内容が競技のJapan Aeropress Championship Roast Competition2022の詳細になります。課題豆などは、提出期限の2週間前くらいに送ってきます。一度、東京会場に期限まで送ってその4日後に「東京会場」と「福岡会場」に分けてジャッジを同時開催で行われます。
また、この課題豆が送ってくるタイミングが難しく、一番に考慮すべきポイントは「エージング期間」や「エージング方法」であります。コーヒー焙煎後のエージング論も様々にありますが、メチャメチャ重要なポイントになります。このくらいの日本屈指の焙煎人ばかりが参加するコンペであれば、このエージングについても最善を尽くさないと勝てないのであります。
私は、今回はこのエージングも含めて様々な角度から検証を行いつつ課題豆の提出を行いました。その内容等は秘密ですが(笑)、去年はこの部分でちょっと考えることがありました。
そして、今年も去年も真夏であることが重要なポイントにもなっております。出来れば直接会場にクーラーBOX等で保管しながら大事にお届けしたいのですが、日本でも西の端っこ近くに点在していますので、そうはいかずに宅急便でお送りしました。ただ、この検証結果は当日会場でジャッジしたからこそ確認出来た部分もあり、大きな成果は得れました。ちなみに去年は、その当日に会場にジャッジに向かうことが出来ずに居ましたので、今年はとても充実した仮説と検証が出来て良かったです。
Japan Aeropress Championship Roast Competition2022のジャッジの詳細について
Japan Aeropress Championship Roast Competitionでは、コンペ参加ロースターにジャッジの参加権利があります。私は去年ジャッジ日にスケジュールが合わずに参加が出来ませんでした。今年はスケジュール調整が出来たので、当日にジャッジとしても参加することが出来ました。
そのジャッジをする際にも、すべての液体に公平であるように色々とルールや条件がありました。このコンペに優勝者は、各ジャッジの順位付けによるポイントが高いロースターになります。「1位=5点」「2位=4点」「3位=3点」「4位=2点」「5位=1点」になり、ジャッジはJACRCの独自スコアシートによる採点を行い上位5位までを各自選出して、その総得点が高い方が優勝者となります。今年のスコアシートは、去年とは変更点もあり焙煎コントロールで味や香りの調整が必須となっておりました。
参考リンク⇒「SCAカッピングスコアシートの7つの項目とは」
下記に今回のJapan Aeropress Championship Roast Competition2022のカッピングスコアシートをまとめてみました。
~~Japan Aeropress Championship Roast Competition2022の8つのカッピングスコア項目~~
①フレーバー(FLAVOR)
フレーバーとは「Aroma」+「Taste」のことを指します。つまり「味」と「香り」を含めた評価になるので、口から鼻に抜けていくアロマのすべてが複合した印象を連想される物質を表現した評価項目になります。
②アフターテイスト(AFTERTASTE)
アフターテイストとは、飲んでいる最中ではなく飲み込んだり吐き出したりしたあとの評価になります。コーヒーが口の天井の裏側にどれくらい余韻と持続性が長く続くのかを評価していきます。
③アシディティ(ACIDITY)得点が2倍スコア
アシディティの表とは、好ましいときには「ブライトネス(明るさ)」とされて、好ましくないときには「サワー(すっぱい)」とされます。この評価は酸の強度ではなく酸の質であります。
④マウスフィール(MOUTHFEEL)
マウスフィールとは、「質感」+「重たさ」の感覚のことです。「重たさ」は挽いたコーヒー粉の超微細の繊維粒子によって認知されます。つまり、微細ではあるが微粉末の量で感じる感覚であるといえます。そして、「質感」とは抽出されたコーヒーオイルによって感じられます。このコーヒーオイル量や質によってトロリとするかサラリとしているかの感じ方が変わってきます。
⑤クリーンカップ(CLEAN CUP)
クリーンカップとは、「コーヒーの透明度」によるクリアな表現をする言葉になります。コーヒーの液体中に風味を阻害する要因がないことを意味しております。
⑥スイートネス(SWEETNESS)
スイートネスとは、甘味自体が果物の酸味と糖分(シロップや黒糖)などを人間が感じられる範囲の表現のことをいいます。
⑦バランス(BARANCE)得点が2倍スコア
バランスとは、他の評価の側面がどのように調和して、どのように補完しあって対照しあうかに注目しております。すべての味わいと風味などのバランスを計り評価をつける項目であります。
⑧オーバーオール(OVERALL)
オーバーオールとは、主観的な評価の反映としつつも、カッパーとしてのセンスを問われたり他の項目のスコアにも考慮してスコアを付与しなければなりません。あくまでも、主観的な評価をすることが求められます。
参考リンク⇒「SCAA式のカッピング勉強会を開催しました」
上記の8項目がJACRCでのスコアシートでチェックしつつ、トータルスコアを算出していきます。このスコアシートから読み取れるのは、【すべてはロースターの技量によって焙煎豆の味と香りの調整をする必要】のであるのだと感じました。つまり、豆のポテンシャルだよりだけではなく加熱調理をする料理人であるロースター自身が、焙煎に関わるあらゆる側面を広く深く理解していなければ絶妙な焙煎豆にはならないことであるのです。
このスコアシートでは「Acidity」と「Balance」が2倍得点が計算されますので、この2つの項目は強調しなければならないということです。まず「Acidity」を強調すること自体で比較的に浅煎りに近い焙煎度合いになりがちになります。あまり意識をして「Acidity」を強調するとAnderDevelopmentになり風味を阻害する要因になったり、スイートネスがSweet Grainになりがちになります。つまりフレーバーの未発達や穀物のような甘さの印象に陥りがちになるということになります。
しかも、浅煎りになればなるほど焙煎時間が短くなるので各フェーズに時間を掛けることが出来ずに、何処かを伸ばすと何処かに影響があり何処かを削ると何処かに影響があり、それらがすべてのバランスを整えたり崩したりと大変難しいものになります。そのような迷路に迷い込むような焙煎ループに陥ってしまい、ずっ~~と自問自答を繰り返して手書きでの焙煎プロファイル表を持ち歩いて、ずぅ~~~と睨めっこ状態になります(笑)
~~Japan Aeropress Championship Roast Competition2022の課題豆のプロファイル~~
生産国:エルサルバドル
生産者:23Small Produers
品種:パカマラ種
精製方法:ウォッシュド
生産地方・地域:Metapan,Chalatenango
標高:1450m~1650m
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上記の生豆が今年のJapan Aeropress Championship Roast Competitionの課題豆になります。この課題豆が約2週間前くらいに5kg送られてきます。提出日を気にしつつエイジング期間やスコアシートをより高得点を出すための焙煎豆の仕上がりを調整していきます。
最初の1バッチ目を焙煎して生豆のポテンシャルを測ってみたのですが、調整次第で崩れたり引き出せなかったりとロースターの焙煎技量を測るのには適切なコーヒー豆だと感じました。
Japan Aeropress Championship Roast Competition2022の当日会場ジャッジの流れと感想
当日のジャッジに今年はスケジュール調整が出来て参加出来ましたので行ってきました。今年も、西日本会場と東日本会場の2つ同時開催を行っておりました。私は、西日本会場のCOFFEE COUNTY FUKUOKAさんでのジャッジに参加させて頂きました。
今年の参加ロースター30店舗の方々は、去年に引き続き事実上日本一を決定するかのような豪華で素晴らしい面子が揃っておりました。その参加ロースターが自らジャッジされるので、自分自身の焙煎の腕前をジャッジされていると同然なので手に汗握るような緊張感がありました。去年は会場でのジャッジではなく、結果だけをお知らせ頂いたので今年は自らのジャッジで自分の焙煎豆も含めて評価していくという貴重な体験であったのでハラハラドキドキな感じでした。
ただ、ルールは至ってシンプルでJACRCで定められたスコアシートで30ロースターの焙煎豆を50分以内にスコア付けしていき上位5位までを決定していけば良いだけでありました。まぁ、全部を明確にジャッジしていくのには時間が足りなくて消去法での形で上位の10位くらいのものをスコア付けしていく感じにはなりました。
今年の豪華参加ロースターは下記に記載している30ロースターになります。
- 和珈屋
- 岩間さん
- COFFEE COUNTY
- 豆香洞
- BERTH COFFEE
- コーヒー焙煎研究所わたる
- Gluck Coffee Stop
- REC COFFEE
- WORK BENCH COFFEE
- ガーデンバール&コーヒージャパン
- Kameino Coffee
- BE A GOOD NEIGHBOR
- PASSAGE COFFEE
- PHILO COFFEA
- K COFFEE
- Circular Coffee Roasters
- little flower coffee
- TAKAMURA COFFEE ROASTERS
- ハゼル珈琲
- フジヤマコーヒーロースターズ
- SHIKISHIMA COFFEE FACTORY
- LANDMADE
- Coffee Wrights 蔵前
- DARK ARTS COFFEE JAPAN
- What’s coffee
- aoma coffee
- メロディー
- なかむら珈房
- BREATH HIROSHIMA
- カリオモンズコーヒー
上記30店舗のロースターが参加されておりました。30ロースターのカップが2つづつ並んで一斉にカッピングを開始しましたが、かなり神経が擦り減りました(笑)ただ、明らかにスコアシートから外れるカップは2週目から除外していき、最終的には10カップくらいが横1線という感じでかなり拮抗しておりました。
「フレーバーの質もほぼ同じ」「Acidity」「Aftertaste」「Mouthfeel」「Sweetnes」「Balance」などもほぼ同じスコアになり、甲乙つけ難い状態でありました。あとは、温度が冷めて変化する部分での微差の「ローストディフェクト」や「Acidity」や「Sweetnes」の質や強度などをあら捜し(笑)みたいな状態で精神を研ぎ澄ましておりました。その結果スコアの差で上位5位まで絞り込めました。
すべてのカッピング評価は公平性を保つためにブラインドカッピングになりますので、自分自身が自信を持って提出して焙煎豆も分からなくなります。ただ、今回参加して良かったのはスコアシートで自分が良いと感じた液体評価は総評したあとには評価が高いものが多くありましたので、とても良い擦り合わせと認識確認をさせて頂きました。
そして、何より自分自身の焙煎豆を自分でも上位5位の中にスコア付けして評価していたことであります。頑張った甲斐もあり、心の中で自分をメッチャ褒めたたえておりました(笑)
まとめ
今年のJACRC2022はジャッジを含めて、とても良い体験と勉強になりました。そして、何より様々な仮説と検証を望めて良い方向に結果が傾いていけたことでした。
実は、今回はこの強豪揃いの焙煎コンペで2位でした~~!!!
去年のリベンジが出来ました。ただ、1位と2位の差は大きいので来年は1位を目指して頑張ります!
~~今年のJACRC2022の成果~~
- 2位であったこと
- 自分自身のカップを上位5位内に選出していたこと
- エージング検証が出来たこと
- 参加ロースターの方々の仮説と検証を体験出来たこと
- スコアシートが変わることでの焙煎プロファイルの何を変更するべきかの幅
- ローストディフェクトの意識
- カップ数が多いカッピング効率と精度
- 複雑性の幅
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やっぱりコーヒーの競技会は楽しい!!
普段、店舗での焙煎では考えない幅や領域などを何度も検証してやり抜く先に点が線になる瞬間があることや、知りえなかった領域に踏み込んだり調べ尽くして辿り尽く答えがあったりと自分自身の成長の促進剤になることばかりです。
また焙煎とは何か??・・を考えて改める良い機会にもなりました。今回も運営や参加してお世話になって皆様、ありがとうございました!!!
これからは、このより磨かれた焙煎技術を駆使して店舗に来て頂く皆様や関わって頂く卸先様にも焙煎豆で還元していければと思って日々精進致します。またコーヒー教室やトレーニングにも活かしてお伝えしていきますのでご興味のある方は是非お越し下さいね!当店の詳しいアクセス方法などは下記リンク地図をご参照下さいね。
本日も、最後まで長々とした文章にお付き合い頂きありがとうございました。