「美味しいコーヒーとは何か?」に向き合い続けた20年の歩み
ご家庭や会社・飲食店のコーヒーを徹底サポートする、コーヒー豆を提供する専門店です
コーヒーと共に歩み続けた20年の流れ

皆さん、はじめまして。私は、コーヒー焙煎研究所わたるの代表の内山渉と申します。
私が愛する熊本の地でコーヒー屋を創業したのが、2002年9月9日でした。熊本市内のアミューズメントパーク内に車での移動販売でコーヒー販売を始めたのがきっかけでした。紆余曲折としながら気づけば、20年の月日が経っておりました。
まさか自分が、ここまでコーヒーにこだわり熊本の地で徹底したコーヒーを追求するお店を運営していくとは思ってもいませんでした。開業当初は車での移動販売でコーヒー販売を行っておりましたので、コーヒーにこだわる設備もなく今では考えられないような環境で熊本の各地でコーヒーを提供しておりました。
私は、何処かのコーヒー専門店で修業をしてから、満を持してコーヒー屋を開業した訳ではありませんでした。開業当初の頃のコーヒーは、まだまだ美味しいコーヒーとは程遠いものでありました。それ以前に、美味しいコーヒーとは何かの哲学も持っておらずに感覚だけで楽しんでコーヒーを淹れておりました。それはそれで、コーヒーを楽しむことは大事なことであるので良いことなのですが、日々に前進を続けて一生このコーヒー屋を続けていきたいと思って、真剣にコーヒーと向き合い始めてから意識が変わってきておりました。
美味しいコーヒーとは何か?こだわりのコーヒーとは何か?真実のコーヒーは何か?・・と毎日、自問自答を始めてから楽しいのに苦しい日々がやってきました。それは、コーヒーの世界が広く深いことを痛感させられることでもありました。それでも、当時は22歳という若さの特権があり、やる気と情熱だけは満ち溢れておりましたので日本各地の美味しいコーヒーを求めて飲み歩きました。
寝ても覚めても、朝起きてから寝るまでコーヒーのことばかりを考えて生活しながらコーヒーを提供をしておりました。その気持ちは、20年の月日が経っても変わらず美味しいコーヒーとは何かを追求を続けております。

開業当初の車での販売での限界を感じたのは、美味しいコーヒーとは何かの中に環境設備がコーヒーには必要な部分を気づいてからでした。環境が変わったら美味しいコーヒーが淹れれる訳ではなく、自分の心の中の『美味しいコーヒーとは何か?』の定義が変わり、コーヒーに対しての哲学が生まれ出してから世界が広くなってきて、環境整備をしていこうと考えた瞬間から、車でのコーヒーの提供に限界を感じたのであります。
車での販売も大好きであったし、決して環境が悪いとかではなく、私の人生のテーマの1つでもある『美味しいコーヒーとは何か』の定義が変わり、コーヒー哲学が創造始まっただけであるのです。コーヒー焙煎に関しては、開業当初くらいから縁があって携わることがあり、自家焙煎珈琲はやり続けておりました。その1つの縁ときっかけが、現在のコーヒー焙煎研究所わたるの設立の起因でもあったのだと思います。私は、コーヒー焙煎を初めて19年くらいになりますが、様々なタイプの焙煎機で煎り上げてきましたが、コーヒー焙煎は全然飽きないで楽しめる作業であると感じております。
私が一番最初に触れた焙煎機は、フジローヤル5kg直火式ドラム焙煎機でありました。縁があり、19年ほど前に1年間くらい焙煎をさせて頂いておりました。その出逢いや縁も、すべては偶然と必然が混じり合っていて不思議であり有難いことばかりでした。コーヒー屋は趣味では継続が出来ないのであり、真剣になればなるだけお店の運営が上手くいかない時期がありました。何も知らずにコーヒーの世界に飛び込んで、社会的に見れば小さいながらも自営業でもあるので「シェフ」と「オーナー」の両輪を上手くバランスを調整して前進していかなければなりませんでした。
ただ、当時の私は「シェフ」の経験も「オーナー」の経験もなく、基本を知らずにガムシャラに走り続けてつまずくことばかりでした。コーヒー専門店のシェフの側面からだけではなく、社会人として経営者としての多角的側面からの経験側がなさ過ぎて前進することがやっとでした。運営的に厳しいお店であると、大事にするべきコーヒーに対しても楽しめずに自転車操業をすることだけで精一杯でした。何度も、コーヒー屋さんの道から外れそうになった経験があります。
ただ、人の何倍も努力は惜しまないし「やる気」と「負けん気」だけは強くありましたので、純粋に腐らずに進み続けたら良い縁も沢山ありました。その大きな転機でもあるご縁が、前途で申したフジローヤル5kg直火式ドラム焙煎機を使用して1つの自家焙煎珈琲豆専門店の運営をさせて頂くことでした。
当時の私は、コーヒー屋を開業して3カ月目くらいにして運営的にどん底を味わっておりました。「技術」も「経験」も全くない、飲食店や移動販売やコーヒー専門店として分からないことだらけでした。運良く開業当初に販売させて頂いていた、熊本市内のアミューズメントパークには沢山の人が毎日訪れていたので、その人の勢いだけで何となく売り上げも上がっていて運営が出来ていたのだと思います。人生は甘いものではないので、開業2ヶ月目で撤退を余儀なくされて出ていくことになりましたが、この時点ですべてを失っておりました。「移動販売車の故障」「販売先がない」「コーヒー豆の仕入れ先もない」と、この3つの出来事が一気に起きてコーヒー屋さんを続けていくことが困難になりました。
ただ、私は決めたことは絶対に曲げたくない性分でありましたので、どうにか続けていくために必死にもがき続けました。このときに、私は決して腐ることがなくキラキラ輝き続けて想い描いた通りの人生を送りたいと思い最善を尽くしました。結果は「2台目の移動販売車を作成」「熊本から福岡に拠点を移し」「自家焙煎コーヒー豆専門店からの仕入れ先」を現実に引き寄せることが出来ました。ただ、すべては私の力ではなく皆様がチャンスとご縁を運んで頂けたから現実にすることが出来ました。
このご縁とチャンスがきっかけで、毎日コーヒー豆を焙煎しながらコーヒー豆に対する基本を学べる環境が整いました。コーヒー店の運営からコーヒー器具やコーヒー豆の仕入れや営業などを一気に任せて頂き、自家焙煎珈琲豆専門店の経験をさせて頂きました。来る日も来る日もハンドピックに追われて、直火式ドラム焙煎機でのコーヒー焙煎にも追われて、スゴク良い経験と大変な日々を一年近く過ごさせて頂き、満を持して熊本の地に帰ってきて、再度コーヒーでの移動販売を再開させて頂きました。
熊本に帰ってきてから、まず小さいながらも焙煎機を購入して自家焙煎珈琲豆でのコーヒー屋さんを再開しました。コーヒー抽出器具や環境設備も変えたので、コーヒーのクオリティも以前よりも高くなり、やっとコーヒー屋さんを名乗れるような自信も沸いてきておりました。
それからは、数年間は紆余曲折がありながらも熊本の地でコーヒー屋さんとして生計が立てれておりました。ただ、運営もコーヒーのクオリティも向上すればするだけ次なるステージに登って行きたくなります。

その当時に、どうしても次なるステージのコーヒークオリティを考慮すると設備として必要なのが『店舗環境』と『焙煎環境』でした。まだまだ、経営者としては未熟であったので環境整備を投資するまでの実力がなく、想いだけを募らせておりました。この想いが次なるステージの『店舗環境』と『焙煎環境』を引き寄せてくれました。ここでも、すべては人とのご縁と頂く幸運なチャンスでありましたが、その環境が現実になりました。
具体的にコーヒーの店舗環境の変化では、安定した品質のコーヒーを淹れていくためのマシンや機材を導入することが出来ました。私は、行動による経験側で物事を捉えることが多かったのですが、コーヒー屋さんを開業してからは行動のあとには必ずワンセットで『理論』も覚えて再現性とプロセスを重視することを大事にしておりました。
【理論なき実践は盲目的であり、実践無き理論は空虚である】
この言葉は後々に理解したことでありますが、このような理論なき実践を盲目的に繰り返していたのが私であったのですが、このときは『理論』と『実践』はワンセットと感じておりましたので、コーヒーに関わることはすべて意識しておりました。
この当時も店舗出店した根本的な動機は、コーヒー屋としての大事な理論が理解出来ていたから実践に移したのであったのだと思います。コーヒーは再現性を安定させるためには必須アイテムがありますが、クオリティを求めるための必須アイテムも多数あります。ただ、どちらも理論に基づいていないと再現性もクオリティも高くなりません。
ようやく、コーヒー屋としてクオリティと健全な運営を進みだしておりました。もう1つの『焙煎環境』も、沢山の方々のご縁とチャンスを頂き運良く得ることが出来ました。コーヒーのことを少しづつ理解をし始めると楽しいことが多くなってきます。

しかし、お店の運営は楽しいことや良いことばかりではなく、リスクや想定外の出来事も沢山起こります。まだ、記憶には新しいと思いますが2016年4月の熊本地震であります。このときは、私だけでなく熊本中の方々がご苦労されたことと思います。
私は、この熊本地震でお店も住まいも焙煎所の環境すべてに大打撃がありました。お店はかろうじて現在でもありますが、この熊本地震で自宅と焙煎所を失うことになりました。本当に予期せぬことでありましたが、どんなピンチの時でもコーヒーの世界から離れることだけは考えないので、ジタバタもがき続けてみました。
この熊本地震後の大変なときも、沢山の奇跡があり、周りの皆様がご縁とチャンスを与えてくれたお陰で、今まで以上に素晴らしい現実を手に入れることが出来ました。想像していた以上に、素晴らしい焙煎環境が現実になりました。以前から、頭の中で描いていた理想のコーヒー屋さんの理想像に限りなく近づきました。
それが、この『コーヒー焙煎研究所わたる』であります。
私が長年かけて追い求めてきた「美味しいコーヒーとは何か?」の研究や哲学を、このコーヒー焙煎研究所わたるに一挙に集約させて頂きました。
新たに立ち上げたお店も、理念だけは変えずに20年経た今でも変わらずに・・
【人や社会から必要とされるコーヒー屋】
・・であります。この気持ちのまま「美味しいコーヒーとは何か?」の世界観を愛する熊本の地でさらに広めていけております。私が想い描くコーヒーの世界観では、今までの様な同じ温度感を誰にでも合わせることは止めて、本当に理想の美味しいと思えるコーヒーを追求していける環境と商いをこの熊本の地で広げていくことにしました。
もちろん、人様が居て商いは成立しますので、求められることに関しては瞬時に適切に同じ温度感で対応させて頂きますが、私が描く「美味しいコーヒーとは何か?」に関しては、コーヒー焙煎研究所の定義として味作りをさせて頂いております。
コーヒー焙煎研究所わたるでは、心が躍り感動するコーヒーを味わって頂きたいというビジョンを創造しております。この心が躍り感動するコーヒーを味わって頂くためには2つの側面の満足をして頂くことが大事と感じております。
それは、「おもてなし」と「その人にとってのコーヒーの美味しさ」です。この2つの側面は、機械やロボットには出来ないことであり、私たち人間でなければ成しえないことであります。それは、私たち人間には心があるということです。コーヒーを淹れるバリスタの心が、コーヒーを飲んで頂くお客様の心を読み取り適時対応で「おもてなし」と「最高の1杯」を共に満足して頂くことによって、心が躍り感動が出来るのだと感じております。
その感動の一瞬を提供するために、日々に刃を研ぎ澄ましております。それは「美味しいコーヒーとは何か?」を追求続けていることこそが刃を研ぎ澄ますことであり、日々の接客で心の会話を心掛け、真に美味しいと感じて頂けるコーヒーを提供を続けております。
私たちコーヒー焙煎研究所わたるが提供して感じて頂きたい美味しいコーヒーの定義があります。
~~~美味しいコーヒーとオススメしたい定義(酸味特性を意識したコーヒーの場合)~~~
1、クリーンカップ
2、高フレーバー
3、甘さと酸味のバランス
4、後口に風味を伴った印象
上記4つのポイントは順番通りにすべてが表現されていれば、とてもキラキラ輝き澄みわたるようなコーヒー液体になっております。ただ、この表現はあくまで、当店が酸味特性の際に意識したポイントであり、例外である産地や品種のものもあります。
そして、次に苦味特性のポイントを重視した際の、当店コーヒー焙煎研究所わたるが美味しいコーヒーと思える定義です。
~~~美味しいコーヒーとオススメしたい定義(苦味特性を意識したコーヒーの場合)~~~
1、質の良いキレイな苦味
2、重厚感に伴った風味
3、ボディがある
4、後口に苦味と風味を感じる印象

このように、コーヒーは焙煎度合いや産地特有にしかない風味特性を明確に表現することが常に変わり続けております。それは、豆の質でありコーヒーの焙煎深度でフレーバー&テイストが変わるからであります。例えば、このコーヒー豆が同じでも焙煎度合いが中煎りになれば美味しいコーヒーの定義も変わってきます。そのような「美味しいコーヒーとは何か?」の定義や、当店のコーヒー哲学を含めた部分をコーヒー焙煎研究所わたるでは追求を続けております。
この「美味しいコーヒーとは何か?」に向き合い続けて、熊本の地でコーヒーで商いを継続していくのには限界があると感じております。ですので、当店では全国のコーヒーファンや全世界のコーヒーファンと向き合うことが出来るように、世界基準のトレンドのコーヒーと変わることのないコーヒーの本質を追求することにしております。
まず、世界基準のトレンドのコーヒーとは産地が表現される風味特性などを表現するコーヒーであります。この部分は、各コーヒー生産地や農園別で考える方向性などの違いで変わり続けております。まだスペシャルティコーヒーが浸透していない時代には、生産エリアや地域などである程度のフレーバー&テイストは予想が出来るクオリティでありました。
ただ近年のコーヒーブームの勢いもあり、本当に高品質でクオリティを適正な尺度で捉えれるコーヒー時代に突入してからは、嗜好品飲料らしく産地特性でもある風味を語れるような高品質のコーヒーが生産され始めました。その尺度を適正に公平に計り、良いものには適正な価格で取引が出来るような流通の仕組みが出来上がってきました。
そうなると、コーヒー生産農家の方々も高品質なコーヒーを適正な尺度で評価して頂くために丁寧で手間暇をかけた良質なコーヒー豆を栽培から精製処理から選別工程までを行うようになってきました。量販的なコーヒーの流通社会から、品質重視の流通社会に移りつつあるコーヒーに活気が満ち溢れてきて、生産者や生産農家の方々も消費国の日本にも視察に来るようになってきました。
そして、消費国が求める価値あるコーヒーを学んで持ち帰り、更に価値あるコーヒーを生産を続ける素晴らしいコーヒーサイクルが行われています。このコーヒーサイクルの中で価値あるコーヒーの尺度を持ち続けているのがカップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence)品評会であります。
このカップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence)品評会とは、厳しい審査を通過したコーヒー豆があります。そのコーヒー豆が最終的に国際審査員によって選ばれる「最高の中の最高のコーヒー」を点数などの総合評価で決定します。カップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence)品評会の国際審査員の評価点数が平均で86点以上に対して与えられる名誉ある称号であります。
そして、この名誉あるカップ・オブ・エクセレンス入賞した豆は、全世界のバイヤーがネットオークションで購入出来るような仕組みになっております。この価値あるCOE入賞豆は世界中のバイヤーが落札するために競り合っております。
この仕組みでの素晴らしいポイントは、最終落札価格のほとんどが生産者の手元に入ることです。コーヒーの品質をスペシャルティコーヒー市場の基準に合うレベルにまで引き上げれているコーヒー豆であれば、生産者側の人々は沢山の利益を手にすることが出来ます。
そして、COE入賞後は世界中の多くのコーヒーバイヤーや消費者に知れ渡ることになり、沢山のコーヒーファンがコーヒー農園を訪れたり、継続的な関係を築くことも出来、安定的な収入を得るための信用を得ることが出来るのが、カップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence)品評会の仕組みの素晴らしいポイントであると思われます。
つまり、良質なコーヒー豆を生産することによって正当に評価される対象であれば、そのコーヒー豆の品質に見合った金額で公平な価格での売買されることがこのCOEでの仕組みであります。今までの、生産者や生産農家の方々の意欲と比べれば雲泥の差もあり、コーヒー栽培ノウハウを研究して更なるクオリティの向上を目指して、生産国でスペシャルティコーヒーの品質を意識した動きが高まり、品質重視の素晴らしいコーヒーサイクル時代に突入しております。
このような品質重視のコーヒーサイクルで評価対象となるコーヒー豆は、酸味特性を感じる焙煎度合いが中心であり浅煎りから中煎りにかけてトレンドとなるコーヒーの動向は現在あります。その産地特有の風味特性を意識したコーヒーの中で伝えれるコーヒーの魅力は、産地で生産者が手間暇かけて丁寧に生産されたコーヒーのドラマです。生産者から、私たち作り手から消費者に渡るコーヒーサイクルのドラマであります。ただ、生産者が手間暇かけて丁寧にするコーヒーと、私たち作り手が手間暇かけて丁寧に作り出すコーヒーは異なる部分があります。
良質で品質重視であるべきなのはコーヒー生産に関わる方々で、その想いを形にするのが私たち作り手側であります。ただ、この想いを形にするという表現には2つあると感じております。「コーヒー生産者の意図の表現」と「作り手である私たちのプロの職人による創造性のあるコーヒーの表現」の2つの方向性があると感じております。この2つの意味こそが、「トレンドである現代のコーヒー」と「本質を追求した上での創造性あるコーヒー」であると感じており、言い換えれば『流行であるコーヒー』と『不変的なコーヒー』であると捉えております。

コーヒー焙煎研究所わたるは、『流行であるコーヒー』の追求も常に意識しております。そして、同時に『不変的な本質であるコーヒー』も常々追求をしております。その『不変的な本質であるコーヒー』を追い求めるために多角的な刺激と意識をチームと個人で行えるような環境作りにも心掛けております。当店では、この熊本の地からチームWATARUとしてコーヒーの抽出や焙煎に関わる競技会に積極的に関わり参加をして経験を積み、各個人のスキルアップのきっかけとしております。
コーヒー競技会とは、コーヒーのスキルを競い合う大会でありますが、一定のプロが業務で行う所作なども含めてチェックポイントがあるので、私たちが日頃行っているコーヒーサーブをクオリティ高い状態でありつつ、ルールの中でどれだけスキルを競い合えるかを試される大会でもあります。このようなコーヒー競技会に積極的に参加して、普段はお店でのコーヒーのスキルをチームを組んで挑んでいく、コーヒーの甲子園みたいにチームワークを養えることも素晴らしいと感じております。
ただ、私たちコーヒー焙煎研究所わたるがコーヒー競技会に参加する最大の理由は『不変的な本質であるコーヒー』を学んでいくチャンスと捉えている部分が大きくあります。普段は、行わない仮説と検証を踏まえて更なるコーヒーの抽出や焙煎のレベルアップも図れることも感じてチャレンジしております。この角度の挑戦も、コーヒーを魅力的に素晴らしいものだと伝えるためには養うべきスキルだと感じております。
【知っていることと、出来ること】は一緒のようで大きく違います。
そして、コーヒー焙煎研究所わたるが目指すのはコーヒーの魅力を伝えていくために『知っていること』でも『出来ること』だけでもなく、『言葉で理解して伝えていくこと』が出来ることをスキルや知識として得ていくために日々学びを続けております。ただ『知っている』だけでは所作を得ていないのでプロセスをお伝えしていくことが出来ません。そして『知っていて、出来ること』だけ出来ても、分解図を理解して言葉で伝えることが出来なければ本当にどの角度からでもお伝えしていくことが出来ません。理屈や理論を理解して、実践を伴う所作や技術を身体で体現が出来た上で、それを言葉だけで伝えることが出来ることが本当に私たちが求めている領域であります。
コーヒー焙煎研究所わたるが目指すのは【知っていること、出来ること、言葉だけでも伝わること】
この3つの『こと』を体験して頂き、更なるコーヒーの魅力や世界を感じて頂き感動をお伝えしていきたいと思っております。
このような想いと目的意識を持って、熊本から世界に向けて発信して私たちが創造する『美味しいコーヒーとは何か?』・・を伝えていくことが出来たうえで、熊本の地から世界中のコーヒーファンの人達にコーヒーを通じて感動を与えていければと思い日々精進しております。
その上で、理想に掲げている境地は「形式知」であるコーヒー伝導です。コーヒーを学び始めた当初は経験から感じたことの経験値でコーヒーを語ったり伝えたりしていました。それは、正に知ってはいるけど根拠や理由を理解していないので曖昧な境地でした。このように、知ってはいるけど言葉では伝えることが出来ないことを【暗黙知】といいます。この【暗黙知】の領域を抜けて【形式知】であるコーヒー伝道者になるために日々に学んでおります。その【形式知】とは「文章」「図表」「数式」を言葉で説明や表現が出来ることであります。この境地に達するためには、コーヒー豆を化学的な側面からのアプローチで学んでいかないとなりません。
コーヒーのサイクルで大事な要素の「From Seed to Cup」という言葉があります。それは「カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である」という意味を込めて使われております。その中で、コーヒー焙煎研究所わたるが担っているのは生豆を生産者から仕入れをして焙煎から抽出までの工程の中で風味が素晴らしい美味しさであることを徹底追及することであります。もちろん、直接産地に出向き生産者の意図や気持ちを伝導していくことも大事ではありますが、あくまでも私たちが出来ることは加熱調理と抽出工程であります。これは、素材そのものを理解した上で更なる価値のある魅力的な嗜好飲料に仕上げていくことが生産者に対してのリスペクトを意味することでもあると感じております。