皆さん、こんにちわ^^
コーヒー焙煎研究所わたるのWATARUです。
本日は、コーヒー業に関わっている方や今後コーヒー屋を開業しようとお考えの皆様にとって、とても有益なコーヒー情報をお伝えさせて頂きたいと思います。
その有益なコーヒー情報とは、私が先日に受講してきた【JCQA認定の商品設計マスター】の資格試験前に開催される勉強会で学んだことを、備忘録ブログがてらに皆様にお伝え致しますので、ご興味のある方は是非最後までご観覧下さいね。
目次
コーヒー鑑定士資格試験の1つのJCQA商品設計マスターとは
私がコーヒー屋人生の中で1つの目標としている資格取得として掲げているのの中に、「珈琲鑑定士」というものがあります。この珈琲鑑定士とは、JCQAが認定しているもので「生豆鑑定マスター」「商品設計マスター」「品質管理マスター」の3つの資格を取得すると、日本国内におけるコーヒー鑑定士といわれる称号を頂けます。
ちなみに、私は半年前にSCAA(Specialty Coffee Association of America)とCQI(Coffee Quality Institute)が認定している「Licensed Q Grader」(「Qグレーダー」もしくは「国際コーヒー鑑定士」)の資格試験と講習会に行って参りました。
参考リンク⇒「国際コーヒー鑑定士のQグレーダー資格試験の受験をしてきました」
このQグレーダー資格認定の『Q Coffee System』の目的は、昔はコーヒー豆の評価基準が生産国別によって様々な物差しがありました。標高で格付けをする生産国があったり、生豆のスクリーンサイズで格付けをしたり、欠点数によっての格付けをしていたり、生豆の評価基準がない国もありました。このように、コーヒー豆の評価基準を国などを関係せずに、コーヒーの評価尺度を客観的な基準で定めて統一することにしました。その評価尺度とは、公平性を持てるようにしたのがSCAAで、それを形にしたのがCQIなのであります。その評価基準を客観的な物差しで評価をする者として認定する対象をQグレーダーと位置付けをしております。
このQグレーダーに認定されるためには、6日間連続の研修と試験を受けることが必須とされております。このQグレーダーでは、コーヒー評価のプロとして必要な味覚や嗅覚が備わっているか試されます。その評価項目は「筆記試験」「味覚」「嗅覚」「官能評価」「有機酸プロファイリング」「ローストID」「グリーングレーディング」「カッピング」の8科目19試験があり、すべてに合格することを必要とされております。
このようにQグレーダーでは、生産者側に立っての評価尺度を中心とする技能や知識を必要とされておりました。一方、日本国内における珈琲鑑定士の位置付けとしては、生産国側の定義とするコーヒー生豆鑑定はおちろん販売側における商品設計や品質管理なども、知識や経験として必要とされてきます。
このJCQAのコーヒー鑑定士とは『消費者ニーズに合う品質の製品を作る』ための「商品設計」「生豆鑑定」「品質管理」の各種分野のエキスパートになり、そのコーヒー鑑定士と呼ばれるための知識と技能を兼ね備えていることが必要とされております。
参考リンク⇒「2018年JCQA品質管理マスター資格試験を受験してきました」
参考リンク⇒「2019年JCQA生豆鑑定マスター資格試験の講習会で勉強してきました」
例えば、あるコーヒー好きな消費者やお客様が居ます。そのお客様は、いつもお気に入りの商品のコーヒーがあります。そのお客様は、そのコーヒーの風味がお気に入りであり、「いつも同じ風味であって欲しい」という思いがあって購入をして頂いております。
ただ、その一方ではコーヒー自体は農産物でもありますので、その原料の品質がいつも同じであるとは限らないのであります。それは、つまり「コーヒーとは飲む度に風味が変わりうるもの」とも言えるのであります。「いつも同じ風味」を期待しているお客様と、「いつも同じ品質であるとは限らない原料」という現実自体が矛盾しているのであります。
しかし、この矛盾を解決しなければ販売するためのコーヒーの商品自体が作れないのであります。この矛盾点である「いつも同じ品質であると限らない原料」を「いつも同じ風味のコーヒー」を作り続けていくことがコーヒー鑑定士の使命の1つであるともいえます。そのためには、コーヒーの生産現場から消費に至る様々な知識や技術の習得が必須になるのであります。
そして、今回はコーヒー鑑定士の1つのマスター資格の「商品設計マスター」を受講した際のことを備忘録ブログとしてお伝えしていきますね。今後にコーヒー鑑定士を目指す方やコーヒー業に携わる方には、とても有益で重要な内容になりますので、最後までお読み下さいね。
まず、この「商品設計マスター」とはになりますが、簡単に概要をご説明しますね。コーヒー消費者のマーケットの要求とは、ビジネスである一面もある故「良いコーヒー」ばかりではなく、「個性的な風味のコーヒー」を求められることもあったり、「ローコスト(低価格)のコーヒー」を求められたりもします。このような、マーケットの要求に合わせて商品設計していくことが商品設計マスターとして必要な技能や知識となってきます。
このような、マーケットの要求に応えるための技術や知識についての商品設計マスターについて今回はお伝えしていきますね。あと、過去に取得したコーヒーインストラクターのことも下記にリンクしております。この商品設計マスターを取得されるなら必須な資格になりますので、ご興味のある方は、こちらも併せてお読みくださいね。
参考リンク⇒「コーヒーインストラクター2級を取得しました」
参考リンク⇒「コーヒーインストラクター1級を取得しました」
①市場背景(業態)
レギュラーコーヒーをお客様に提供する際には、生豆を販売するわけではないので目的に沿った商品内容や形態で販売することが必要とされます。いかに素晴らしいコーヒーであったとしても、そのお客様に合わせた目的に沿った商品設計がなされていなければ、その商品は市場から評価もされずに良い結果も得ることが出来ません。
そういう意味では、この商品設計に必要なスキルの基本としてはマーケティングであります。このマーケティングを踏まえて商品設計を行っていく必要性があります。まず、様々な市場があることを理解して考慮していかなければ商品設計は出来ません。具体例として、下記に4つのパターンを記載してみます。
~~~様々な市場の訴求ポイント~~~
◎業務店用
良い例:1杯辺りの風味の充足感がある商品作り
悪い例:品質にバラつきが発生し易い商品作り
◎対面売り場用
良い例:販売員の人が訴求点を語れる商品作り
悪い例:差別化し難い商品作り
◎セルフ商品用(スーパーや量販店など)
良い例:商品パッケージがアイデンティティを語れる商品作り
悪い例:賞味期限の短い商品作り
◎オフィスコーヒー用
良い例:抽出液の経時変化による風味変化が目立ち難い味作り
悪い例:好き嫌いのはっきりとした個性的な味作り
~~~
上記のような4つのパターンの訴求ポイントの良い例と悪い例を挙げてみましたが、その本質は個々の業態やマーケットが求める内容に違いがあるということであります。この要求に応える品質に対する仮説を作り、商品設計に反映させていかなければ市場のお客様を満足させていくことが出来ません。
(1)市場ボリューム
業態によっては市場ボリュームを把握しにくい場合が多々あります。そのため、特別な設備投資や販売促進方法が必要な製品の場合は、それに見合った投資になるかを見極めて計算していく必要性があります。また、大量販売が見込める場合には、安定供給が出来る生豆オリジンや規格のみで商品設計していく必要があります。
(2)競合ラインナップ
新商品を提供開始する場合は、競合商品となるものがありますが、その際には下記の2つのポイントに注意するべきであります。
1、競合商品の価格帯
2、競合商品の品質と訴求ポイント
これら2つのポイントを理解した上で考慮して商品化をして市場に対しての反応を見ながら、改良していかなければなりません。
②ターゲットの想定
(1)購買層と消費者
販売する際には、購買者と飲用者が異なることがあります。その際には、デザインやネーミングには細心の注意と配慮をした上で、商品作りをすることが必要になります。
(2)抽出方法の想定
飲用される際に、想定される抽出方法や飲用場面の環境などを考慮して、商品設計(配合、焙煎方法、粉砕粒度)をおこない適したものを作る必要があります。
(3)訴求ポイント
どんなに素晴らしい商品が出来上がっても、その素晴らしさが市場に伝わっていかなければ購入者は増加していきません。そのためには、その商品の価値観を伝えるべく訴求ポイントを明確に考慮した上で「ネーミング」「商品デザイン」「販売促進方法」などを決めていかなければなりません。
③商品コンセプト
商品設計をおこなう前に、まず明確に市場背景やターゲットを想定して、どのような商品をどのように市場に投入していくかを計画することが重要になります。この商品コンセプトがないと、様々な技術的な要因のある商品設計をする段階で方向性がブレてしまうことが多々あります。そのためには、下記の6つのポイントを捉えて商品設計に落し込んでいく必要性があります。
1、想定ターゲットと訴求ポイント
2、風味イメージ
3、商品形態
4、販売価格
5、販売計画数量
6、新商品投入による利益計画
上記6つのポイントを踏まえて商品設計をしていきます。
④商品設計
(1)想定原価
想定した利益計画に基づく製品原価として「資材費」「原料生豆費」「製造経費」などがあります。大型商材では設備投資が伴うので償却費を組み入れることも必要であります。この償却費は、リスクを考慮して2~3年で償却出来る見込みで原価計算をすることが望ましいのであります。
(2)風味のコンセプト
抽象的な商品コンセプトからイメージするコーヒーの風味を想定して、商品設計の基礎として考えていきます。この風味のコンセプトを計画した段階で「生豆配合」「焙煎機の機種」「温度プロファイル」「粉砕機の機種」「挽き方」を具体的に商品設計に落し込んでいきます。
(3)製造ロットの確認
販売計画数量に合わせて製造機器の生産能力を考慮しておきます。そして、生産効率に支障がない製造数量に設定しておくことが必要であります。ここで注意しておかなければならないのは、生産効率ばかりを考えて、お客様が飲む際の鮮度も考えて計画することが大事になります。
(4)配合
生豆配合案を計画する前に、下記のようなリスクがあることを注意しておくことが必要であります。
Q、販売予定数量に見合った供給可能な生豆を前提としておりますか?
A,供給可能な量の生豆を確認しておくこと
Q,想定原価を踏まえた生豆を使用しておりますか?
A,アラビカ種:カネフォラ種などの比率を確認しておくこと
A,高地産プレミアム・アラビカ種の使用可否かの確認をしておくこと
Q,端境期の異なる生豆を使用しておりますか?
A,収穫時期などを考慮して、出来れば北半球と南半球の産地の豆を織り交ぜておくこと
Q,高品位な風味の生豆に低品質の生豆を組み合わせていませんか?
A,グァテマラ・アンティグアにブラジル№4/5などを組み合わせていないかを確認しておくこと
(5)焙煎
商品設計で落し込んでいく際に、焙煎方法を検討する上で下記の点に注意しておきます。
◎複数のタイプの焙煎機があれば、どの焙煎機の個性が商品コンセプトに合致しているかを判断をしてから、機種を選定してくこと。
◎焙煎度だけでなく、どのような温度プロファイルで焙煎するかを想定しておくこと。
◎焙煎度と温度プロファイルは、ブレンドコンセプトと配合内容から決定すること。
◎苦味と酸味のバランスは使用する生豆に由来する酸味と焙煎度合いで調整すること。
◎口当たりは焙煎の温度プロファイルによって調整をすること。
(6)粉砕
商品設計において粉砕方法を検討する際は、下記の点に留意します。
◎複数の粉砕機があるならば、どの粉砕機の個性が商品コンセプトに合っているかを考えて、機種を選定していきます。
(悪い例:クリーンな印象の風味の焙煎豆を細挽きに設定すること)
◎粉砕粒度の設定する際は、抽出方法を前提として「カップキャラクター」と「抽出濃度」で決定していきます。
(7)パッケージ
商品設計においてパッケージの形態を検討する際には、以下の点に留意しておきます。
◎商品コンセプトに合っている「品質保持性」「デザイン」「パッケージ機能」を検討する
◎適切な包装容量と荷姿の検討する
◎新たな包装資材を使用する際には包装のテストをした上で検討する
(8)パッケージへの表示事項
新規市場導入をおこなう小売用商品のパッケージを作成する場合は、以下の表示事項に気をつけることが必要であります。
(a)一括表示
公正競争規約施行規則に定めた表示内容をパッケージの見やすい場所に明瞭に一括して表示しなければなりません。
(b)不当表示の禁止
不当な顧客の誘引を防止して、一般消費者によう自主的であり合理的な選択を事業者間の公正競争を確保することを目的としております。
◎特定の成分や原材料が多いことや少ないことなどを強調して、いかに自社商品の品質が優れているかのように誤認される可能性がある表示。
◎「天然」「自然」「純」「純正」「ピュアー」などの言葉。
◎「生」「フレッシュ」などの新鮮を強調して意味する言葉。
◎「超」「究極」などの最上級を意味するような言葉。
上記のような表記については公正取引協議会などで定められていることがありますので、商品設計する際には十分に注意して検討を重ねることが必要です。
(c)有機栽培(オーガニック)コーヒーの注意点
認証コーヒーの1つの「有機栽培(オーガニック)」コーヒーはJAS法にて厳しく規制されております。そのことを踏まえて下記のような点に注意することが必要になります。
◎有機JAS規格を満たすものとして、登録認定機関により格付けの表示「有機JASマーク」が付いたものでなければ「有機」「オーガニック」などの表示は出来ません。一括表示の品名の場合は「有機レギュラーコーヒー」、原材料名は「有機コーヒー豆」と記載しないといけません。
◎有機栽培の生豆(JAS認商品)を使用した製品で、その加工が有機認定された向上でない場合は、品名には「有機栽培コーヒー」の表示は出来ません。ただし、原材料名には「有機コーヒー豆」と記載が可能であります。
◎有機と非有機のブレンドコーヒーの場合は、原材料名は「コーヒー豆」と記載します。その商品を有機ブレンドと強調をする場合は、生豆生産国の後に有機コーヒー豆の配合比率を記載することが必要になります。
まとめ
今回、受講させて頂いた「商品設計マスター」は基礎的なことであり、実際に試験で問われるのは、この基本を踏まえた上での実例を想定しての問題になります。ですので、実際に実務経験がないとなかなか合格することは難しいと思います。
それは、コーヒーのことに関して様々な分野で精通しておく部分であったり、売買に関しての法令の部分も認識した上であったり、設備機器や包材などの機能や流れにも詳しくなければ商品設計は成り立たないということであります。
ただ、この商品設計は私がコーヒー店を営んで継続していくためには必要なスキルばかりであります。お客様や取り引き業者様が居て、当店の営業が成り立つのであります。まだまだ、知識も経験も足りていない部分もありますが、更なるコーヒーの魅力を伝え続けるために組織として継続することが最優先になります。
当店では、コーヒーの開業支援先や卸業者様のパートナー様方にも、このようなスキルや技術を駆使してお伝えしながら共存していっております。個々で頑張る時代から、他業種も同業種も共存する中で意識を同じくして成果を上げていく時代に突入していると感じております。
共にコーヒーやお店を継続していくためのビジネスを共有したい方やご興味のある方は、是非店頭にお越し下さいね。今後の複雑な時代を共に、共存して乗り越えていきましょうね。下記リンクバナーに、当店のアクセス地図などが掲載されておりますので、是非要チェック下さいね!!