スペシャルティコーヒーの日本と世界各国の定義の違いと評価の尺度について

スペシャルティコーヒーわたる
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皆さん、こんにちわ^^

熊本WATARUコーヒー研究所のわたるです。

本日は、当店でも取り扱いのあるSPECIALTY COFFEEに対する想いや気持ちなどをお伝えさせて頂きたいと思います。

スペシャルティコーヒー豆の歴史や定義

私は、コーヒー業界に携わり16年目になります。

10数年前は、巷でスペシャルティコーヒーという単語や表記などを聞いたり見たりすることは少なかったと思います。

最近は、スペシャルティコーヒーしか扱わない専門店も多く見かけます。

上記動画は、当店でのコスタリカ産スペシャルティコーヒー焙煎シーンです。

そして、当店の以前のブログ記事にもスペシャルティコーヒーに関してのことは記載しておりますので、そちらも併せてお読み下さいね。

参照記事→「スペシャルティコーヒー協会認定のコーヒーマイスター資格を取得したことについて」

上記ブログ記事にも記載しておりますが、日本スペシャルティコーヒー協会の定義でいうと、

『消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。

カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの全ての段階において、一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)』

・・と定義付けをされておりますが、要は美味しさのポイントの明確的な部分と生産履歴などの明確的な部分とがあることによって、本当に美味しさを自己満足で決めている訳ではないとも言える部分があるということだと思います。

もちろん、生産者の顔や生産農地の環境などもお伝え出来る情報なども透明化していることも大事だと思います。

味だけではない要素があるということがあるのが、このスペシャルティコーヒーの魅力でもあるのです。

スペシャルティコーヒーの誕生と歴史について

このスペシャルティコーヒーの単語が生まれた瞬間は、生産国側ではなく消費国側の人の発言で生まれました。

1978年にフランスで開かれたコーヒー国際会議の席上で、アメリカのエルナ・クヌッセン女史が、スペシャルティコーヒーという言葉の表現をはじめてしようしたことからが始まりと言われております。

このときのエルナ・クヌッセン女史が発した言葉で、

『特別な気象・地理的条件が、ユニークな=(特別な)、風味=(フレーバー&Taste+Aroma)を有するコーヒーを生み出す』

、、という発言が、欧米を中心として世界各国に広まっていきました。

その後、1982年に米国でのスペシャルティコーヒー協会のSCAA(Specialty Coffee Association of America)が設立されました。

日本でのスペシャルティコーヒー協会は、1999年に美味しいコーヒーの普及と啓蒙を目的に現団体の前身である「日本スペシャリティーコーヒー協会」が発足されて、その後2003年に新組織SCAJ(Specialty Coffee Association of Japan)の日本スペシャルティコーヒー協会が設立されました。

世界各国のスペシャルティコーヒーの定義とは

スペシャルティコーヒーを団体と発足している国は幾つかあります。

その団体や協会によって、スペシャルティコーヒーの定義には違いがあります。

様々な団体や協会の定義の違いなどを、代表的なのを3つ挙げてみました。

SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)

定義として定めていませんが、信条として「教育と情報交換を通じて素晴らしいコーヒーを育成すること」と掲げています。意思疎通の場や教育・訓練の場を設け、各プロセスにおいて認定制度を導入、もしくは導入計画をしています。

SCAE(ヨーロッパスペシャリティコーヒー協会)

定義を「From Seed to cup」と定めており、最終的に消費者が手にする液体としてのコーヒーの美味しさを求めています。

SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。

カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの全ての段階において、一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。

「From seed to cup」の意味するものとは?

このスペシャルティコーヒーを語る際に、何度も出てくる語句でもある「From seed to cup」という単語があります。

おそらく、この「From seed to cup」の概念がスペシャルティコーヒーの根底を形成している側面もあるといえます。

この「From seed to cup」とは、一言でいうと「コーヒーの生産(seed=種)からカップに至るまでのすべてのプロセス」のことであります。

そして、この要約されている要素は3つあります。

サスティナビリティ(sustainability)

コーヒーの生産現場において、環境、社会問題、経済などを配慮することは、品質の優れたコーヒーの安定的、継続的生産に繋がります。

クオリティ(quality)

特別な地理的、気象的条件、栽培技術、生産処理技術により、優れたカップクオリティを実現できます。

インフォメーション(information)

透明性の高い情報を、正しく伝えることが基本の1つで、道徳的な高潔さも重要な要素となっております。そこから、トレーサビリティ(tracebility=追跡可能な、後をたずねることができる)と、コーヒーの美味しさを消費者に正しく伝えることが、大事になることに繋がります。

スペシャルティコーヒーを判定するための評価の尺度について

そして、スペシャルティコーヒーの液体に落ちるカップを判定するためには、カップ・クオリティを評価する尺度が必要になります。

この評価の尺度は、各項目にカップテストする際に点数をつけて合計点数で、そのコーヒーの液体がスペシャルティコーヒー基準なのかを計ることが出来ます。

いわば、コーヒーのプロ同士の共通言語でもありますので、この各項目の評価点数は大事になってきます。

1、カップのきれいさ(Clean cup)

この項目は、コーヒーの液体の品質を指しており、基本的なポイントになります。

カップの液体が「汚れ」「風味の欠点・瑕疵」があると、コーヒーの栽培地域特性である「Terroir」が、はっきりと感じにくくなってしまい評価点数が落ちてしまいます。

コーヒーの液体の透明性があるかどうかを判定してジャッジする項目になります。

2、甘さ(Sweetness)

この項目は、単に甘さを感じとるだけではなく、コーヒーチェリーが収穫された時点で、熟度が良く、熟度がどれほど均一であったかに直接関係する甘さの感覚をチェックします。

そして、甘さとは焙煎されたコーヒーに含まれる糖分の量が絶対的なものではなく、甘さの印象度を創造する他の成分や要素との結合にも依存するのであります。

3、酸の質(Acidity)

酸度の強さを計るのではなく、酸の質を評価する項目になります。

良質な酸味は、コーヒーに生き生きとした印象度を与えます。

明るく爽やかであり、繊細な酸味の質がどれだけあるかを評価対象にしております。

スペシャルティコーヒーには、「刺激的な酸味」「不快な印象度を与える酸味」「爽やかではなくキレの無い酸味」「劣化した嫌な酸味」などの要素は、あってはならないし評価点数に値しないものになります。

4、口に含んだ質感(Mouthfeel)

この項目は、コーヒーにより伝えられる触覚をチェックします。

具体的に口に含んだ質感を「粘り気」「密度」「濃さ」「重さ」「舌触り」などの滑らかさなどを評価します。

そして、この口に含んだ時の量感は、質感と同じではありません。

量ではなく質をチェックされる項目になります。

5、フレーバー(Flavor)

スペシャルティコーヒーの評価では、最も重要な項目になります。

それは、従来の一般的なコーヒー(コモディティコーヒー)とスペシャルティコーヒーを区別する目安になるからです。

味覚と嗅覚の組み合わせでのカップテストの項目で、口と鼻が繋がる辺りに霧状に液体を啜って確認します。

口から鼻に抜けていく風味を確認します。

栽培地域の特性、Terroirが正しく表現されているかをチェックします。

そのコーヒーが栽培地域特性、Terroirが表現できているかを確認する項目になります。

つまり、「栽培」⇒「収穫」⇒「回収」⇒「選別」⇒「生産処理」⇒「保管」⇒「焙煎」⇒「抽出」が理想的に行われれば、栽培地域の特性であるTerroirが正しく表現されるのです。

6、後味の印象度(Aftertaste)

コーヒーを飲み込んだ後の「口に残るコーヒー感」が、甘さの感覚で消えて行くのか、あるいは刺激的な嫌な感覚がにじみ出てくるのかを判定する項目になります。

コーヒーを飲み込んだ後で持続する風味は、コーヒーの他の属性により醸し出される心地良さを強める場合と、弱める場合があります。

そして、それどころかそれらをすべて駄目にしてしまう場合もあります。

7、ハーモニー(Harmony)

コーヒーは風味の調和が取れているかをチェックする項目になります。

バランスは取れているか、何か突出するもの無いか、何か欠けているものは無いか、などのコーヒーの風味の調和をチェックします。

まとめ

このように、スペシャルティコーヒーを語る場合は様々な要因があり透明性であり明確である情報性が必須になってくるのであります。

あと、補足になりますが上記で記載している各団体や協会でのスペシャルティコーヒーの定義のSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)とSCAE(ヨーロッパスペシャリティコーヒー協会)は2017年1月1日に合併しております。

この2つ協会は合併して、

「Association of Specialty Coffee(ASC)」

・・という名称になりました。

それと、このスペシャルティコーヒーを語るための定義なのですが、日本の掲げているスペシャルティコーヒーの定義は具体的でいいですね(笑)

当店でも、スペシャルティコーヒーの豆は沢山あります。

すべてカップの中の風味が素晴らしく液体の透明性や甘さがあり、コーヒーを飲んだ後の余韻は長く続きます。

これからも、スペシャルティコーヒーに限らず素晴らしいカップの液体は沢山ありますので、ドンドン当店に関わるコーヒーファンの方々には提供していきたいと思います。当店は、熊本にあるコーヒー専門店ですが想いや気持ちやコーヒーの質は世界に通用するクオリティのものばかりです。熊本の当店の近くを通られる際は、是非お立ち寄りくださいね。

  参考リンク⇒「熊本コーヒー焙煎研究所わたるのホームページ」

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