◎第2回 精製処理方法の違いによる生豆の特徴

コース内容 今回のポイント

 前回のコーヒー焙煎について学ぶの第一回目は、世界各国で栽培されるコーヒーの生豆の味わいの特徴や方向性を学んで頂きました。コーヒーの木から、コーヒーの実を収穫してその中の種子をコーヒー生豆として輸出をして、私たちが焙煎を施し抽出して1杯のコーヒーになります。

 今回の講座は、コーヒーの実を収穫した後に種子を取り出すまでの過程での方法が大きく分けて4パターンあります。 この種子を取り出す過程の4パターンの違いでも、大きく味の方向性が変わってしまいます。

「ナチュラルプロセス」「ウォッシュドプロセス」「ハニープロセス」「スマトラ式プロセス」と、4パターンの精製方法があります。この違いは、産地の状況などによって精製処理方法が変わったりします。具体的にいいますと、味わいを狙った方向性に仕上げるためであったり、予算や費用の問題などでことであったり、 天候や生育環境などによる問題であったりと、様々な要因で精製処理の手段が変わってきます。

その精製処理方法が変わるだけで、最終的なコーヒー豆の風味や味わいが大きく変わってきます。その精製方法による味の飲み比べなどを行って体感して頂き、最後にご自身でお気に入りの精製方法の生豆を焙煎をして頂きます。そのご自身で焙煎して頂いたコーヒー豆を、最後にカッピングを通して復習して頂きます。

 この一連の流れを経て、【精製処理方法の違いによる生豆の特徴】の学びは卒業致します。

 

コーヒー豆を脱穀するプロセスでの様々な精製処理方法について

 コーヒー豆を精製するまでの方法は、大きく分けると4つのパターンの流れがあります。まずは、この4つのパターンの流れの精製処理の方法を学んで頂きます。

 コーヒーチェリーを収穫後に「ナチュラルプロセス」「ウォッシュドプロセス」「ハニープロセス」「スマトラ式プロセス」の4つのパターンの流れの精製処理方法があります。

 「ナチュラルプロセス」では、コーヒーチェリーを収穫後にそのままコーヒーチェリー毎、天日干しをして乾燥を一気にさせて脱穀までしていくプロセスになります。「ウォッシュドプロセス」は、コーヒーチェリー収穫後に果肉を剥いてパーチメントの周りの粘液質を除去するために発酵層で2日間くらい漬け込んでおきます。そうすると、粘液質が分解されていきますので水洗いを繰り返して粘液質を完全に除去していきます。そのあとに、パーチメントの状態で乾燥工程を行います。乾燥したパーチメントを脱穀機にかけて中身の種子となるコーヒー生豆を取り出して出来上がります。

「ハニープロセス」は、「ナチュラルプロセス」と「ウォッシュドプロセス」の要領を取り入れたプロセスになります。コーヒーチェリー収穫後に果肉を剥きます。そのあとは、粘液質に覆われたパーチメント毎、乾燥工程に入ります。あとは、乾燥したらパーチメントの中から種子となるコーヒー生豆を取り出して出来上がります。

最後に「スマトラ式プロセス」ですが、果肉を剥いたあとにミューシレージ(粘液質)は除去せずにパーチメントの状態で乾燥工程に入ります。ただ、この乾燥工程も半乾きの状態で一気に生豆を取り出します。そして、生豆がまだ水分も残り柔らかい状態なので、ここからまた乾燥工程に入って水分を調整して出来上がります。

 ここでは、このようなコーヒー豆を精製するプロセスの違いや流れを学んで頂きます。

 

精製処理方法の違いによる風味や味わいの違いについて

 前途で学んだ4つの精製処理の違いによる、味わいや風味の違いを学んで頂きます。

 コーヒー豆の精製処理は果肉がついたままか、果肉は除去してもミューシレージはついたままか、果肉とミューシレージを除去したあとの乾燥工程がどの段階で行われるかで、風味などが大きく変化する要因になっております。

 まず「ナチュラルプロセス」ですが、こちらは水洗いしていく工程がなく、コーヒーチェリーの状態のまま一気に乾燥工程に入りますので、果肉の甘さなどが種子に移っていきやすくなり、コーヒー生豆の状態に仕上げたときにはフルーティーな香りや甘さが特徴的になります。焙煎工程では、この風味を活かしたプロファイルを考えて焙煎を仕上げていくとイメージ通りの甘くフルーツのような風味がイキイキとコーヒーで表現がされます。

 そして「ウォッシュドプロセス」は、果肉を除去してミューシレージ(粘液質)も分解除去をしてパーチメントがキレイな状態で乾燥工程に入ります。このように、水洗いによって精製処理を繰り返していきますので、クリーンな状態で汚れが少ないコーヒーが比較的に出来上がり易く、酸味がキレイな状態で仕上がり易くなります。焙煎工程では、キレイで明るい酸味と爽やかな風味特性に仕上がるようなプロファイルで仕上げていきます。

 「ハニープロセス」では、果肉を除去した後はミューシレージ(粘液質)を除去せずに、パーチメントにミューシレージ(粘液質)が付着したまま乾燥工程に入ります。乾燥工程がパーチメントにミューシレージを残したままでの状態で仕上げているので、柔らかい風味や甘さが特徴的になります。焙煎工程では、このような特徴的な柔らかい風味や甘さを活かした表現のコーヒーが出来上がるようなイメージでプロファイルを考慮して仕上げていきます。

 最後に「スマトラ式プロセス」では、果肉を除去後にミューシレージ(粘液質)を除去せずに、パーチメントにミューシレージ(粘液質)が付着したまま乾燥工程に入ります。ただ、このスマトラ式プロセスでは乾燥工程をこの時点では半乾きくらいで一気に脱穀をします。そして、柔らかく青緑色っぽい状態の水分がまだ含まれている生豆を再度、乾燥をさせていくプロセスになります。このスマトラ式プロセスは、生豆の風味が土っぽい印象になりがちであり、浅煎りよりも苦味が結合していく中深煎り以降の焙煎度合いが適しております。そうすると、スマトラ式プロセスの特有のアーシーな風味が際立ち苦味との相性も抜群に良くなります。そのようなことを考慮して、スマトラ式プロセスでの焙煎プロファイルは調整していきます。

 このような、精製処理方法による風味の違いや焙煎方法のアプローチの違いなどを学んでいきます。

 

お好きな風味の精製処理のコーヒー豆で1バッチ焙煎体験

 ここまでの精製処理方法の違いによる風味や味わいの違いの要因などを学んで頂いたあとは、実際にお好みの精製処理のコーヒー豆をお選び頂き焙煎体験をして頂きます。

 コーヒー豆の風味は精製処理の違いで異なるのですが、それは目的の味わいや風味も異なってきますので、焙煎工程の際の熱を与えていく際のアプローチも変わっていきます。すべては、目的の味わいと風味は生豆の精製処理の違いによるポテンシャルの違いなので、例えばナチュラルプロセスでの焙煎をする際のアプローチはナチュラルらしさの果実感ある風味や甘さを活かすのであれば、じっくりと焙煎をするのではなくスピーディーに焙煎工程を進めて輪郭を浮き上がらせて明るさのある酸を目指すことによって、産地特性のある風味が際立つコーヒー豆に仕上がるのであります。

 ただ、その場合も忘れてはならないのは焙煎工程に関わる方程式の変数であります。ここでは、変数に関わる項目は「生豆のポテンシャル」「焙煎機の特徴や性能」であります。前者の「生豆のポテンシャル」は見極めていくのは、焙煎師として当たり前なのですが、後者の「焙煎機の特徴や性能」に関しては目の前にある焙煎機の構造に見合うパワーと性能の中で焙煎プロファイルを構築して焙煎工程を進めていかなければなりません。

 このような、現場でしか分からないコーヒー焙煎をする際のポイントを踏まえて、精製処理方法に合う焙煎アプローチを交えて焙煎体験を1バッチして頂きます。こちらで、焙煎体験をしたコーヒー豆はお土産用にお持ち帰り頂きます。

 

煎り上げた焙煎豆をカッピングにておさらい

 今回学んだ仕上げで、最後はご自身で煎り上げた焙煎豆をカッピングをして復習を致します。

 コーヒーの技術や知識を成長させていく最低限でも必要なことは、カッピング技術を習得することです。このカッピング技術は、どのコーヒー抽出でも最低限に必要なスキルになります。それは、答えを知っていなければ、そのコーヒーが正解か不正解かが分からないからです。

 どんなに問題集を解き続けて受験勉強に励んでも、答え合わせをして間違いだったポイントを修正して学んだり、正解している問題をおさらいするためには、絶対に必要なことは答え合わせを必ず最後にして復習をすることなのです。それは、コーヒーの世界も同じで、方程式を解き計算をして作ったコーヒーの液体自体が狙った通りのものなのかは正解を知らなければ完結しないからです。

 ここでは、精製処理の違いを学んで焙煎をして、その焙煎計画通りに味わいや風味が引き出されていたのかを、カッピングによって導き出して擦り合わせていくことを学んで頂きます。このカッピングも含めて学んで頂いたら、こちらの【精製処理方法の違いによる生豆の特徴】は終了となります。

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